夕べの寒かったこと、寒さに目が覚めてしまい、持ってる服をみんな着て、毛布に頭までくるまったけど、ジトジト濡れてるみたいに気持ちも悪く眠られなかった。真夏だというのに北海道のこの寒さは一体どうなっているのだ。昼頃になって何だか虚しく足も重たくダウンしてしまう。道路脇の草むらで1時間程寝る。気を取り直して走っても、すぐにダウンしてしまう。どうも疲れがたまっているのか、体が重すぎて気力が湧かない。こんな事で日本一周なんか出来るものか。頑張れ!頑張れ!誰も自転車旅行などしてくれと頼んでないぞ。俺が勝手にでてきたんじゃないか
赤穂浪士の墓があったので一人でお参りをする。寂しいところだが、何となく暖かみのあるお墓である。遠藤君と佐藤君という2人連れに会う。急に元気になるから、我ながら驚いたりあきれたり。寂しいけど一人旅の意義みたいなものを感じる。
旭川市に着いて、腹は減るし作る元気もないので、「山ちゃん」という食堂にはいる。そこのおばさんに大変お世話になる。おばさんおおきに。いつの日か又来たときは寄りますからね。今夜の泊まりをどうすると3人で話し合う。俺は夕べ寒くて参った話をする。彼たちもどこかに泊めて貰おうと思っているらしい。早速教会に行って頼んでみる。教会は旅行者に理解があるからと、中の一人がいうもんで、安心していったのにあっさり断られた。もう1軒の教会を見つけていってみたけど、ダメだった。別にガッカリすることもないはずなのに、内心ガッカリする。自分自身にも他人にも甘えているのはよく分かっているけど、親切で優しい人にたくさんあって来ただけに、ここでも、と思う甘えた自分に腹が立つ。
この頃は、やたらと自転車旅行とか、徒歩旅行者が北海道へ北海道へと押し掛け、道の近くの家に来ては、「ご飯を食べさせてくれ」とか、「泊めてくれ」と言うので,世話をしてやっても礼状一つよこさん。そんな話聞かされては、俺はそんな男じゃないなんて言えたもんじゃないし、同じ道を通るものとして、恥ずかしい限りだ。そんなことを理由に断られるのは、自分がまるで悪いことをしているみたいで情けない。
彼らはテントを持っているのでお宮に行き、テントを張らせて欲しいと頼む。「火の元に気をつけてくれればいいです。」と言われ、ああ良かった。近所に住む内海さんが「寒いし不便だろうから、家に来て寝なさい」と言ってくれる。3人で喜んでおじゃまする。うれしいね。ご飯をご馳走になり、家族の人たちみんなと話がはずみ我を忘れて楽しんだ。律子さんが美人なので、我ら三人うきうきと心がはずんだ。北海道に来て初めて心から楽しんだ。気分上々、うきうき北海道だ。
友と語るとき、自分はああ幸せだと思う。
自分一人で考えるとき、その時が一番自分のためになる。
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