途中まで平山君達とサイクリングを楽しみながら、見送ってもらう。鵜が巣を作る珍しい所を案内してもらう。いろんな面白い石柱のある海岸でふざけて遊んだり、皆でわいわい言いながらサイクリングをする。
みんなで走りながら俺はやはり我が儘なんだなとしきりに思う。「旅は1人に限る」止まるも走るも自分で勝手にすればいいのだから、なんて生意気なことを考えていたのに、皆と別れて、ものの1時間もしないうちに寂しくなり、あんな事を思ったことを後悔する。これから先いつ家庭の暖かさを味わうことが出来るのか、なんてセンチになり、平山君のお母さんが作ってくれたおにぎりをパクパク食べながら走って忘れることにする。
勿来のあたりで、山野辺さんに出会う照島まで行くけどついてこれたら、今夜止めてあげると言われ、嬉しくなり自動車について一緒に走る。この頃はかなりの峠でもおりて自転車を押すことはないし、スピードでも車の人がビックリするほど出るようになった。今日もいい人に会えて良かった。東北の人はみんないい人達だ。日本中いや世界中の人達がみんなこんな親切で優しい人達であったら、泥棒や戦争など悪いことは起こらないのに。でも人間て心の中はみんな良い人だけど、環境や教育、家でのしつけなどで、悪い心の芽が出てくるのだと思う。
茨城宇宙通信実験所を見学、丁度一緒になった高橋さんと写真を撮る。「人は皆温かき心で他人を愛す。愛する心の芽を伸ばす人こそ真の人間なり」
※栄吉さんの若いときは職業軍人で、時の日本のために働き、近年は自宅を子ども達のために私塾として解放、まさに死ぬまで日本のために働いた。昭和60年6月14日、その波瀾万丈の人生を閉じる。書道の大家でもあった氏が私に素晴らしい掛け軸と「私の軌跡」という立派な一生記を残してくれました。その本の中に「財はなさなくても人生に悔いがない」という言葉が出てきます。栄吉さんを語るには、真にピッタリの言葉だと思います。どうぞやすらかに眠って下さい。
いわき市平四軒町 山野辺栄吉 ミドリさん
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