途中で松本という人に会い、自分の家族の愚痴を聞かされる内に、俺まで馬鹿になってしまう。その人に無理に「西日本新聞」に連れて行かれ、旅行のことを聞かれる。何でこんなにと思うほど写真を一杯撮られる。明日の新聞に載るそうだが、売名で旅行をしているみたいで、自分がみすぼらしく感じる。
町会長で医者をしているというその人は、200円をくれたが、嬉しいような、そうでないような、後味の悪い半日であった。
駅前に戻り、道にズラリと並ぶパインの売店で話が弾み、パインを試食させてもらう。そしたら、おもしろがって隣の店も一切れ、又隣も一切れと殆ど全部の店が食べさせてくれる。腹が一杯になり、大いに感謝する。
駅で自転車を受け取り、桜島に渡る。ゴロゴロした真っ黒の火山岩の中に美しい道がうねうねと続き、見とれてしまうほどロマンチックだ。夕方になり、夕焼けに桜島の煙が、美しいコントラストを見せて立ち上り、友達がいたなら、きっと時間が止まってしまうんじゃないかと思うけど、今はとても強いホームシックにかかってしまい、その美しい景色さえも寂しい。一日も早く帰りたい。
ああ!さみしいなあ.... 垂水市近くの海岸で野宿をする。
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