こうして毎日寝てカーテン1枚で6人の他人と暮らしていると、世の中の夫婦のなりわいがよく見えてくる。私は、面会時間がくれば、妻が横にいるのが当たり前で、そんなにいっぱい話をするわけではないが、普通に何時間か居て、時間がくれば本当の家に帰っていく。 私以外の人を見ると、70歳代の人がほとんどで、80歳代の人も1人居て、奥さん達はみんな元気な人ばかりなのに、毎日は顔を見に来ないのは、そんなに忙しいのかと思ってしまう。みんな近所の人たちばかりなのに、一番遠い私たちが、毎日いつもとなるべく同じ生活をしようとしている。 1人、部屋に携帯を持ち込んで、内緒で仕事の話などをしている70歳代の人がいる。この人の奥さんなんかは、「あんたが助かって、私が呼ばれたら(天国へ)かなわんから明日は来えへんからな」と、まだベッドから下りることも出来ずにいる夫に向かって言って帰っていった。自転車で来るので、車が危ないのであまり来たくないと言うらしい。 いやはや実に大阪的な楽しい会話であるが、嫁さん子の私には、どうも理解の外である。でも、世の男の行く末はどちらもあまり変わりなく、病気になり、心身共に弱ったとき本当の姿が見えてくるようだ。「終わりよければすべて良し」と昔からよく言われているが、身にしみて分かるようになったようで、なんだか寂しい気もする。 |
医療もマニュアル化されているのにはビックリした。足の太い方の止血は3時間で60°まで起きても良い、それから2時間過ぎれば、体を横にしても良い、と細かく決まっているようだ。 それより驚いたのは、薬である。私の場合は、心臓を助けるためにまず血をサラサラにする小さな薬を毎日飲んでいる。これは、ちょっとした内出血でもなかなか止まらないので、けがには注意しなければいけないらしい。そして血圧を低めに調整して心臓の負担を軽くしている。もう一つ、便を軟らかくする薬を毎日のみ、トイレで踏ん張らないようにさせているらしい。どれも小さな薬なのに人間の体には良く効くから驚く。 寝過ぎたためか、歩きすぎたせいか、筋肉が落ちだしてきたためか分からないが、ギックリコシのような痛みが出てきてしまった。寝ていた方がいいのか?運動をしすぎると先生に怒られるし、、、今日は廊下を4回づつ2回めぐる。よるにギックリゴシの痛さと左腕のうずき(50肩)が一晩中つづき苦しい一夜であった。 |
夕べ無理をせずに寝ていたので、今朝はギックリゴシのいたさはかなり良くなったようだ。ありがたい。今日一日歩かないようにベッドで寝て暮らす。トイレだけは我慢してゆっくり行く。今日も食事がうまかった。 |
朝食 |
夕食 |
夜8時、最後の点滴の針が抜ける。すべての手足が自由になる。月曜には、入ってからずうっと付けている心電図ようの発信器がはずされるようだ。 |
朝6時半、今日から廊下の散歩再開。まず3周してみる。すこしドキドキ。岩田Drに正直に言えば、やりすぎと言われそうなので、「どうもなかったと言っておこう」 今日は、すべて順調。入院して2回目のグッドラックも泣けた。木村拓哉がタバコを吸っているのが今日は気になった。「止めないと君も心筋梗塞を起こすかもしれませんよ」とアドバイスしてあげたい。 |
腰の痛みも大分なくなった。朝食前廊下を5周してみる。限界と言えば限界と思う。情けないけど心臓がもう踊り出さんばかりにしている。 体重が今までに比べ目に見えて減った。嬉しい。 14時20分、心電図のモニターの発信器をはずして貰った。これで、体からすべての物がなくなり自分の体になった。又一歩快方に向かうかな。 |
昼間歩きすぎたせいか、夕べから又腰痛が出てきてしまった。 トイレに歩いていけないので、尿瓶をを用意するが、なかなかベッドの中でするのは難しい。なんだか寝小便をしているみたいでいやだが仕方ない。 1日中ベッド上が生活空間。 タイクツ! |